第91回 箱根駅伝

第91回 箱根駅伝

2015年1月3日。

「そうだ、箱根駅伝に行こう」と編集長。
箱根駅伝の観戦は未経験だったので、即賛成。

「二子玉川駅からですと、大井町線で大井町駅まで行って、鮫洲駅か青物横丁駅で観戦ですね。大井町駅まで17分、大井町駅東口から青物横丁駅までバスで3分です。過去のデータですが、予想通過時間は鮫洲駅通過が12時55分、青物横丁交差点通過が12時57分です」とCさん。

青物横丁駅で降りて、歩道橋を渡り、赤と黄色の旗を二本もらう。
「旗を振ると興奮しますね」とOさん。
「今年はシード権内いけるぞ!」と母校の健闘に興奮気味の編集長。

予想通過時刻までまだ時間もあったので、小さな中華屋に入った。
壁に備え付けられたテレビを見ながら小さくガッツポーズをする編集長。

中華屋を出ると、すでに沿道はずらりと並んだ観客で賑わっていた。

「そろそろ来るぞ」と誰かが言った。
遠くで緑のユニフォームが揺れている。青学だ。
「一瞬だよ。一瞬で通り過ぎるよ」と左隣りの老紳士が言った。

それまでスマホのラジオアプリで駅伝中継を聞いていた編集長は、すばやく耳からイヤホンを外し、カメラアプリに切り替え、選手にカメラを向けた。
カシャカシャカシャ、連写モードだ。
撮影を終えるや、左脇に挟んだ赤と黄色の旗を慌ただしく両手で持ち、パタパタ振りながら、ガンバレー!と叫んだが、すでに選手はいなかった。
本当に一瞬だ。

しばらくして、駒沢、東洋、明治、早稲田、各大学の選手が走り抜けていった。

「あーっ!」と編集長の顔が歪んだ。
どうやら編集長の母校が遅れているらしい。
しかし、叫んだ理由はそれだけではなかった。

「来ましたよ!」
「わかってる!」
編集長は、激しくスマホを叩いていた。
「撮らないんですか?」
「データがいっぱいなんだよ!」

その時、編集長の手からスマホが滑り落ち、かろうじてイヤホンでぶら下がり、と思いきや、イヤホンが外れて、道路に落ちた。

帰りのバス停を探している間、編集長がぽつりと言った。

「これで母校のケツに火がついた。これでいいんだ。俺のケツにも火がついた」

「火がついた勢いで、パワースポット行きましょうよ」とOさんが言った。

まさかOさんオススメのパワースポットがあんな場所だったとは、この時、Oさんを除く三人は知る由もなかった……

「二子玉川のパワースポット・リターンズ」へ続く →

(文:M編集部員)